アキテーヌのワイン
<ボルドー>
フランスの西南に位置し、ガロンヌ川とドルドーニュ川が合流してジロンド川となる一帯を中心とした産地。栽培面積は10万haで、その広さはフランスで3番目だが、AOCワインの数は57でフランス全AOCワインの3分の1を占める高級ワインの産地。ワインは単一品種から造ることは少なく、2品種以上をブレンドして造られる。大西洋の影響を受ける海洋性気候であり、土壌の成分により植えられる品種を選ぶ。雨量が多いと品質に影響するため、剪定し、収穫量を押さえる必要がでてくる。土壌構成にも川上、川下の位置関係が見られ、河口に近づくにつれ粘土質が増える。土壌成分以外にも水はけや斜面の傾斜など諸条件と、品種の比率などによってもワインの性格は限りなく変わっていく。醸造所は5000近くあり、大きく7つの産地に分けられる。大部分が赤ワインで、白ワインは辛口、甘口合わせて15%、ロゼは3%である。AOC法とは別に、シャトーに格付けがされている。

@メドックMédoc
メドックはボルドー市街の北からジロンド川側左岸沿いに伸びる生産地。砂利質、石灰質、粘土質が多様に調和し、穏やかな大西洋の暖流からの気象などが作用して上質な赤ワインを産出している。メドックの名称は全て赤ワインで、少量の白ワインも生産されているが、メドックのAOCを名乗ることはできない。メドックは上流のオー・メドックと下流のバ・メドックの2つに分かれ、上質のワインを産出する村は主にオー・メドックにある。村名AOCを名乗れるのは、サン・テステフ、ポイヤック、サン・ジュリアン、マルゴー、ムーリス、リストラックの6つの村。
AグラーヴGraves
グラーヴはボルドー市街の南からソーテルヌ、バルサック地区を囲むような形で広がっている生産地。土壌は小石を含んだ砂利(グラーヴ)に少量の粘土質を含んでいて、赤、白ワインともほぼ同量を産出している。この地域は川沿いに広範囲にわたるピレネーから運ばれた砂利から性格を与えられている。村名AOCはペサック・レオニャンがある。
BソーテルヌSauternes
ソーテルヌはボルドー市街の南、ガロンヌ川左岸にある生産地。砂利に砂、白亜質土壌。貴腐を含む甘口から極甘ワインまでの白ワインを産出している。(辛口の場合はACボルドー)
Cサン・テミリオンSt-Emilion
サン・テミリオンはドルドーニュ川の右岸にあり、土壌は石灰質からなる丘地(Cotes)と砂利の多い低地(Graves)の2種類がある。AOCは赤ワインのみで、ブドウ品種はメルロ主体で柔らかく厚みのあるワインを産出している。7つの村から構成され5200haもの面積を持つが、小規模生産者が多い。AOCはサン・テミリオン・グランクリュとサンテミリオン。
DポムロールPomerol
ポムロールはドルドーニュ川右岸、サン・テミリオンの西に位置する小さい地域。土壌は西が砂質で、サン・テミリオンに近づくにつれて粘土質が増加する。ポムロールは平野部にあたり、高低の差はあまりない。品種はメルロが主体で、ワインはサン・テミリオンの豊かなボディとオー・メドックのデリケートさ、気品高さをもっているといわれている。公式な格付けは存在しないが、シャトー・ペトリュスだけは特に優れていて別格扱いされている。
Eアントル・ドゥー・メールEntre-deux-Mers
ガロンヌ川とドルドーニュ川の間に挟まれた地区で、ボルドーで最も広い地区。AOCを名乗れるのは辛口白ワインのみ。
FブールとブライエBourg et Blaye
ジロンド川の左岸で、メドック地区の対岸に位置する古くからの生産地。上質な赤ワインを産出するが、白ワインはあまり上質なものはない。

■ブドウ品種
○白 
セミヨンSémillon、ソーヴィニョン・ブランSauvignon Blanc、ミュスカデルMuscadelle
●赤 
カベルネ・ソーヴィニョンCabernet Sauvignon、カベルネ・フランCabernet Franc、メルロMerlot、
マルベックMalbec、プティ・ヴェルドPetit Verdot

AOC
地方名AOC(ジェネリックワイン)、地区名AOC(レジョナルワイン)、村名AOC(コミューヌワイン)

料理とのマリアージュ:
<メドックのワイン>
カベルネ・ソーヴィニョン種の場合、最も考慮しなければならないのが、ワインの熟成の度合い。熟成したワインは、味わいがエレガントで、複雑な風味が特徴。この場合、香りの強いキノコ類を付け合せにしたフィレステーキや、シンプルな和牛ローストビーフを、さらに熟成したワインには、ゴーダチーズやコンテなどのハードタイプ、ルブロッションなどのセミハードタイプのチーズに合わせたい。逆に若いワインはタンニン分が豊富で、スパイシーな風味が特徴なので、脂肪分の多い牛ロースステーキ赤ワインソースや、仔羊の背肉のロースト パセリ風味、ウナギの赤ワイン煮込みとの組み合わせが考えられる。メドックの中でも、ポイヤック村の上質のワインは、仔牛の心臓のローストや若鶏の砂肝、ハツ、レバーなどの内臓類ととても相性がよい。

<グラーヴのワイン>
赤ワインはカベルネ・ソーヴィニョン種が主体。従ってメドックと同じ感覚で料理と合わせてよい。白ワインはソーヴィニョン・ブラン種とセミヨン種で造られていて、中でも上質なワインは樽で熟成させることが多い。従って、複雑性と濃縮感が感じられ、しっかりとして味わいのワインには、地鶏のロースト、オマールなどの甲殻類、ニシンやサバなど風味の強い魚介類とも相性がよい。

<サン・テミリオン、ポムロールのワイン>
メルロ種はタンニン分も細かく、果実味に溶け込んだ、柔らかい印象のワインとなる。若いうちは、濃厚で果実味が前面に押し出されているため、牛フィレ肉のステーキでもマディラやマルサラ酒などの甘味のあるソースと相性がよい。熟成と共にトリュフや動物的な香りが強くなるため、ロッシーニ風ステーキなど、トリュフの風味を加えた肉料理や、オックステールや牛舌のシチューとの組み合わせがよい。サン・テミリオン地区で、カベルネ・フラン種の個性が強いタイプなら、ジビエ類などのテリーヌと合わせてみるのもおもしろいし、内臓類の料理との相性もよい。

<ソーテルヌのワイン>
ソーテルヌやバルサックのワインは強い甘味を残すため、食事を締めくくる役割が多い。一般的には、ロックフォールやスティルトンなどのブルーチーズとの組み合わせや、デザートと共に楽し、むとよい。また、フォアグラのテリーヌやポワレ、鴨のオレンジソース、レバームース、オマール海老のスープなどに貴腐ワインを合わせるのは、贅沢で洒落た演出。

<その他の地域のワイン>
ボルドー全域に植えられたソーヴィニョン・ブラン種から造られる辛口白ワインの軽快な味わいは、新鮮な魚介類をボイルし、ヴィネガーやレモンを絞った料理を相性が良い。例えば酸味の生き生きしたアントル・ドゥー・メールの白は、生カキと合う。また、この地方で最も作付面積の多いメルロは、ポムロール以外では軽くソフトな赤ワインになるので、サン・テミリオン西のコート・ド・カスティヨンのワインは、ロールキャベツや豚バラ肉の煮込み、キノコを詰めた鶏のローストなど素朴な田舎料理に向いている。ボルドー・シュペリュールなどのカベルネ・ソーヴィニョンを主体にした手頃なワインは、スペアリブやローストチキンなどのシンプルな料理に向く。


<シュッド・ウエスト南西地方>
フランス南西部の独立したいくつかの地区が統一されたワイン産地(ボルドーの東からピレネー山脈までの地域)で、多様な銘柄を含む。土壌も地区によって様々で粘土、石灰岩、片岩、小石の段丘、砂岩などである。気候は西部では温暖だが、気温変化の激しい中央部では厳しい。

■ブドウ品種
○白 
セミヨンSémillon、ソーヴィニョン・ブランSauvignon Blanc、ミュスカデルMuscadelle、
モーザックMauzac、ラン・ド・レルLen de l'El、プティ・マンサンPetit Manseng、
グロ・マンサンGros Manseng
●赤 
カベルネ・ソーヴィニョンCabernet Sauvignon、メルロMerlot、タナTannat、
コーCot(別名オーセロワAuxerrois、マルベックMalbec)、デュラDuras、
フェル・セルヴァドゥーFer Servadou(別名フェルFer)、ネグレットNegrette


地区
ベルジュラックBergerac、オート・ガロンヌHaute-Garonne、ガイヤックGaillac、カオールCahors、ピレネーPyrénées、アヴェイロンAveyron

料理とのマリアージュ:
サン・テミリオン地区を流れるドルドーニュ川の上流域に広がるベルジュラックの栽培地は、ボルドーのワインと個性を異にしている点が多い。ガロンヌ川の上流域は個性に富み、オーセロワ種によるカオールは、タンニンが豊富で味わいが力強く、レバーソテーなどの内臓料理には申し分ない。また、ピレネー山脈の麓に広がる栽培地では、タナ種から造られるマディランなどの赤ワインが有名である。色調は濃く、スパイシーで動物的なアロマが特徴。ジビエなどの強い風味の肉料理に、最も合う。ジュランソンの貴腐による甘口ワインは、フォアグラのテリーヌにふさわしい風格がある。