シャンパーニュ・アルデンヌの地方菓子

土地の産物を使ったお菓子
○ビスキュイ・ド・ランス Biscuit de Reims
ランス発祥の、長方形の小さいビスケット。軽くてさくさくして、フィンガービスケットに似ている。ビスキュイ・ロゼBiscuit Roseとも呼ばれる。17世紀初頭、パン職人がパンを焼いた余熱を利用して焼いたのが始まりという。当初は白一色だったが、現在ではカーミンでピンク色をつけたり、バニラ風味にしたり、チョコレートがけをしたり、またワインをしみこませたものなどもある。シャンパーニュのつまみとして考案されたもので、これをシャンパーニュに浸して食べる。現在売られているのは、絞り出した形のものとフィナンシェ型に入れて焼き上げた長方形のもので、それらはほとんどが工場製。ランスにある1845年創業のフォシェFossier社のものが多く出回っており、パリの大手スーパーでも買うことができる。そこでは1度高温で焼いた後、温度を下げて乾燥させるのだそうだ。これが2度焼くということ。乾燥焼きしたビスキュイは、表面がかりかりになる。

Fossier, Reims
★ ビスキュイBiscuit
フランス語のbis「2度」cuit「焼く」から派生した語。卵、砂糖、小麦粉を混ぜて焼いたもの。13世紀の年代記作家、ジャン・ド・ジョワンヴィルJean de Joinville(1224〜1317)は2度焼きのガレットをベスキbesquisと呼んでおり、17世紀にも王のヴェスキュイbes-duit de Royという記述がある。1700年以降、卵白と卵黄を別々に泡立てて加えるようになり、軽くなった。ビスキュイ生地は小麦粉に対して非常に多くの卵と砂糖を加えるのが特徴で、香りづけにより、多くの種類がある。
 
★ ビスキュイ・ア・ラ・キュイエールBiscuit à la cuiller(cuillere)
指のように細長くて軽いビスケット。当初は生地をスプーンcuillerですくって天板などに流し、竈の余熱で焼いていた。フランス語はスプーンで作ったビスキュイの意。1710年に開発された絞り器がスプーンに代わり、1808年ボルドーの菓子職人ロルサLorsaが円錐容器を考案し、1820年頃から天才菓子職人と呼ばれたマリー・アントナン・カレームMarie-Antoine Careme(1784〜1833)が考案した今日のような円錐形の絞り出し袋を用いるようになった。
 
○クロケCroquet
アーモンドパウダー、卵、砂糖で作った生地を小さな棒状または薄く細長い形にして焼いた菓子。croquer「ぱりぱり音がする」の派生語。固いほどよいとされ、その名の通り、食べるとぱりぱりという。シャンパーニュ地方バル・シュル・オーブのものが名高い。
○ブッション・ド・シャンパーニュBouchon de Champagne
シャンパーニュの栓(ブッション)をかたどったチョコレート。中にマール・ド・シャンパーニュというシャンパーニュの絞りかすで作ったブランデーが入っている。

Delices Champenoises, Reims
○シャンパーニュのシャーベットSorbet au Champagne
シャンパーニュは料理、菓子に用いることも多く、シャーベットにも使われる。シャンパーニュにシロップを加えて糖度を調節し、レモン汁を少量加えて作る。食事の間の口直しや、デザートとして食べられる。
 

キリスト教にまつわるお菓子
○ダリオルDariole
中世に非常に好まれたパイ菓子。プロヴァンス語daurar「黄金色にする」が語源。型に練りパイ生地をしき、カスタードクリームを入れてオーヴンで焼く。ダリオルールと呼ばれた売り子が町中を売り歩いた。19世紀半ばまでパリには多くのダリオル屋があった。今日のピュイ・ダムールの先祖といえる。また現代ではチーズ風味のフランやタルトレット、ライスプディングなど、ダリオル型に入れて作った小さいデザートや前菜にこの名を用いる。シャンパーニュ地方ランスでは今でも復活祭とサン・レミ祭の祈りに食べている。
○ノネットNonnette
パン・デピスの一種。nonne「尼」に指小辞etteがついた語。かつては修道院で尼僧が作っていたことからこの名になった。パン・デピスはランス、ディジョンのものが名高い。

お祭りのお菓子
○フロマージュ・ブランのベーニュBeignets de Fromage Blanc
熟成させていない生のチーズに卵、小麦粉、バターなどで作るシュー生地を加え、油で揚げたもの。熱いうちに粉砂糖をふって食べる。
○フリヴォルFrivolles
カーニヴァル用の揚げ菓子。
○タンティモルTantimolle
この地方の甘くないパンケーキ。2月2日のろうそく祝別の日に食べる。ピカルディー地方ではランディモルLandimolleという。作る際に裏返すためにフライパンをあおってパンケーキを空中に上げるが、お人好しを選んで外に出し、パンケーキが煙突から出るほど高く上がるかを見にいかせるという伝統がある。
○クヌー Queneu
フランのアパレイユを詰めてオーヴンで焼いたシャンパーニュ地方のパイ。クムーともいう。Corne(角)の形をした伝統菓子ガトー・ド・コルヌが原形であり、語源である。
同地方ショモンの祭に供するデザート。