フランスのチーズ
ノルマンディ
○カマンベール・ド・ノルマンディCamembert de Normandie
原産地はノルマンディ地方カマンベール村。白かびタイプ。原料は牛乳(ノルマンド種)。円盤状。直径10.5〜11cm。熟成期間は最低21日。味わいは、ミルクの風味が濃厚で、塩味がやや強い。旬は春から夏にかけて。AOC取得は1983年8月。
○ヌーシャテルNeufchâtel
原産地はノルマンディ地方ブレ地域(北部)。白かびタイプ。原料は牛乳。形状は6種類。ハート状(大小)、角盤状、樽栓状(大小)、煉瓦状。熟成期間は最低10日。通常3週間。起源は中世に遡り、ノルマンディで最も古くから作られているチーズといわれている。味わいは、軽く塩味のきいたピリッとした風味がある。AOC取得は1977年1月。
○ポン・レベックPont-l'Évêque
原産地はノルマンディ地方ポン・レヴェック村。ウオッシュタイプ。原料は牛乳。角盤状。1辺10.5〜11cm。熟成期間は2〜6週間。12世紀の初期、この地方の修道院で作られるチーズは総称して「アンジェロ」と呼ばれていたが、ポン・レヴェックもリヴァロなどと共にアンジェロの1つであった。その後各村ごとに個性的なチーズへと発展していった。表皮は洗って湿ったものと、乾いているものがある。マイルドでコクのある風味。旬は秋から冬にかけて。AOC取得は1976年5月。
○リヴァロLivarot
原産地はノルマンディ地方リヴァロ村。ウオッシュタイプ。原料は牛乳。円盤状。直径12cm以上。側面にレーシュと呼ばれる葦の一種で作られたひもが5列巻かれている。熟成期間は3週間以上。通常は2ヶ月。漬け込んだ匂いと刺激臭がある。強い風味。AOC取得は1975年12月。
ポワトゥー・シャラント
○シャビシュー・デュ・ポワトゥーChabichou du Poitou
原産地はポワトゥー地方。シャビシューは山羊のこと。原料は山羊乳。ボンド(樽栓)と呼ばれる円錐台状。直径5cm。熟成期間は3週間から数ヶ月。ほのかな甘味、塩味、酸味もかすかにある。AOC取得は1990年6月。
アキテーヌ
○オッソー・イラティ・ブルビ・ピレネー Ossau-Iraty-Brebis Pyrenees(AOC)
オッソ−(Ossau)は渓谷の名、イラティ(Iraty)は高原の名。オッソー・イラティはかつてピレネーの西域で作られる山の羊チーズの総称だった。ピレネーの地にベロック修道院が出来て以来、ベアルン地方、バスク地方を中心に作られた。非加熱圧搾タイプ。原料は羊乳。円盤状。直径24〜28cm。熟成は最低90日。65のフェルミエ*と4件のレイティエ*で生産される。フェルミエ製の多くは、カイヨラール(ピレネーの山小屋)で作られる。羊独特の凝縮されたミルクの味と木の実の香りが特徴。ブラックチェリーやカシスのジャムとも合う。AOC取得は1980年。1999年よりオッソー・イラティと呼称。
★フェルミエ:
自らが農家や山小屋で飼育している牛、山羊、羊のミルクだけを用いて、伝統的な方法で生乳製のチーズを作っている製造者
★レイティエ:
すべてのミルクを他者から購入して、伝統的な方法でチーズを作っている製造者
イル・ド・フランス
○ブリー・ド・モーBrie de Meaux
原産地はイル・ド・フランス地方モー村。白かびタイプ。原料は牛乳。円盤状。直径36〜37cm。熟成期間は最低4週間。通常8週間。香りは果実やハチミツを思わせる優雅さを備え、味わいは豊潤なミルクの風味に富み、ナッティ。「チーズの王」と称賛される。AOC取得は1980年8月。
○ブリー・ド・ムランBrid de Melun
原産地はイル・ド・フランス地方ムラン村。白かびタイプ。原料は牛乳。円盤状。直径27〜28cm。熟成期間は最低4週間。通常7〜10週間。モーに比べてコクがあり、力強く男性的な味わい。塩味も強い。AOC取得は1980年8月。
サントル
○クロタン・ド・シャヴィニョルCrottin de Chavignol
原産地はベリー地方。クロタンとは「馬糞」のこと。原料は山羊乳。太鼓状。直径4〜5cm。熟成期間は最低10日。通常は2週間〜1ヶ月。4ヶ月で完熟。熟成度合いによって異なる風味が楽しめる。オーヴンで焼いてサラダ仕立てにしても。AOC取得は1976年2月。
○プリニー・サン・ピエールPouligny-Saint-Pierre
原産地はベリー地方。プリニー・サン・ピエールは地名。ニックネームはピラミッド、またはエッフェル塔。原料は山羊乳。ピラミッド状。1辺6.5cm以上。熟成期間は最低2週間。通常4〜5週間。味わいは、酸味がやや強い。AOC取得は1976年5月。
○セル・シュル・シェールSelles-sur-Cher
原産地はベリー地方。セル・シュル・シェールは地名。原料は山羊乳。円錐台状。直径7cm。熟成期間は最低10日。通常3週間。ポプラの木炭粉をまぶして熟成させる。味わいは、酸味が軽くほのかに甘味がある。口あたりはなめらか。AOC取得は1975年4月。
○ヴァランセValençay
原産地はベリー地方。ヴァランセの名は、ナポレオン時代の外相タレーランの城の名をとったもの。原料は山羊乳。角錐台状。1辺6〜7cm。熟成期間は3週間。木炭粉をまぶして熟成させる。味わいは、酸味が比較的おだやかで、さわやかな印象。AOC取得は1998年7月。
○サント・モール・ト・トゥーレーヌSaint-Maure de Touraine
原産地はトゥーレーヌ地方。サント・モールは地名。原料は山羊乳。一方の端が少しつぼまった棒状。中心にわらが1本通っている。長さ14〜16cm。熟成期間は最低10日。通常は2〜4週間。ポプラの木炭粉をまぶして熟成させる。もろもろとした口当たり。若いうちはさわやかな酸味を持つが、熟成が進むと酸味がやわらぎ、ミルクのコクが出る。AOC取得は1990年6月
オーヴェルニュ
○ブルー・ドーヴェルニュBleu d'Auvergne
原産地はオーヴェルニュ地方。青かびタイプ。原料は牛乳。円筒状。直径大は20cm、小は10.5cm。熟成期間は1kg以上のものは4週間以上、1kg以下なら2週間以上。少し粗野で、舌にピリッとくる刺激的な辛味があるが、後味に牛乳本来の豊潤な香りと旨みが残る。AOC取得は1976年3月。
○フルム・ダンベールFourme d'Ambert/フルム・ド・モンブリゾンFourme de Montbrison
原産地はオーヴェルニュ地方。アンベール、モンブリゾンは地名。フルムとはラテン語の「forma(型)」がなまったもの。青かびタイプ。原料は牛乳。円筒状。直径13cm。熟成期間は2ヶ月。かつては標高600〜1600mの山間で作られ、岩のくぼみの中で熟成させていた。現在農家製はない。若いうちはやや粒状だが、熟成してくると引き締まり、口当たりのよい苦みを帯びた風味が生じる。青かびが多い割に辛みや刺激が少なく、まろやかで上品な味わいであることから「高貴なブルー」と呼ばれる。生産地区は2つだが製法は同じなので、2地域あわせて1つのAOCに指定された。AOC取得は1976年1月
○カンタルCantal/フルム・ド・カンタルFourme de Cantal
原産地はオーヴェルニュ地方カンタル山塊。非加熱圧搾タイプ。原料は牛乳。円筒形。直径、高さとも40cm。熟成は30日以上。若いうちは濃厚なミルクの味わいが、熟成の進んだものは、力強く個性的な風味が楽しめる。AOC取得は1980年2月。
○サレールSalers
サレールは地名。サレールとカンタルはオーヴェルニュ地方を代表する大型チーズで、製法の基本は同じだが、作る時期で名前が違う。夏山の放牧中に作るのがサレール。100%フェルミエ。AOC取得は1979年12月。
○サン・ネクテールSaint-Nectaire
原産地はオーヴェルニュ地方。サン・ネクテールは地名。非加熱圧搾タイプ。原料は牛乳。円盤状。直径21cm。熟成期間は8週間。熟成が進むと古漬けや高菜漬けなど酸味のある漬物を思わせる強い香りを放つ。味わいにもわずかに酸味を感じさせ、軽い渋みや木の実のような香ばしさも併せ持つ。AOC取得は1979年5月
ミディ・ピレネー
○ロカマドールRocamadour(AOC)
もともと「カベクー・ド・ロカマドール」と呼ばれていたチーズで、カベクーとはオック語(中世プロヴァンス語)で「小さなシェーブル(チーズ)」の意味。ミディ・ピレネー地方、ロカマドール村で作られているほか、グラマ村やカオール村でも作られている。原料乳は山羊乳。牛乳や羊乳を混ぜることもある。円盤状。直径4〜5cm。熟成期間はフレッシュなものから1ヶ月程度。若いものはクリーミーで、やさしいノワゼットの味わい。AOC取得は1996年。
○ロックフォールRoquefort
アヴェロン県ロックフォール・シュル・スールゾン村周辺で作られ、同村にあるコンバルー山の自然の洞窟内で熟成される。青かびタイプ。原料は羊乳。円筒状。直径19〜20cm。熟成期間は最低3ヶ月。この洞窟には自然の亀裂(フルリーヌ)による空気の流通があり、温度9℃、湿度95%で1年中一定している。味わいは塩味はブルーチーズの中で最も強く、舌を刺す刺激がシャープに感じられる。AOC取得は1979年10月。
○ブルー・デ・コースBleu des Causses
原産地はルエルグ地方。青かびタイプ。原料は牛乳。円筒状。時計20cm。熟成期間は3〜6ヶ月。「コース」と呼ばれる石灰質高原で作られ、自然の洞窟内で熟成させる。ロックフォールの牛乳版といわれる。強いが上品な味わい。口当たりはなめらか。AOC取得は1979年5月。
○ライオールLaguiole
ライオールはルエルグ地方オーブラック高原にある村の名。非加熱圧搾タイプ。原料は牛乳。円筒形。直径40cm。熟成期間は4ヶ月以上。味わいはくせがなく、コクのある濃厚な旨みを有する。熟成が進むと木の実のような香りが強くなる。AOC取得は1976年6月。
ノール・パ・ド・カレ
○マロワールMaroilles
原産地はティエラシュ地方の町マロワール。962年マロワール修道院の修道僧によって作られたのが起源といわれる。ウォッシュタイプ。原料は牛乳。角盤状。一辺12.5〜13cm。他にソルベ、ミニョン、カールと呼ばれる小型のものがある。熟成期間は最低5週間。通常は2〜4ヶ月。味わいはまろやかで、こなれた塩味とコク、後味に甘味。旬は夏から冬にかけて。AOC取得は1976年5月。
シャンパーニュ・アルデンヌ
○シャウルスChaource
原産地はシャンパーニュ地方。シャウルスはこの地方の町の名前。白かびタイプ。原料は牛乳。円筒状。直径9〜11cm。表皮は厚いベルベット状の白かびで覆われ、中身は淡黄色でやや粉質。熟成は2週間以上(通常1ヶ月)。味わいは塩味、酸味ともにやや強め。風味はヘーゼルナッツやキノコ。旬は初夏。パッケージに書かれた紋章はシャ(=猫)、ウルス(=熊)にちなんだもの。AOC取得は1977年1月。
○ラングルLangres
シャンパーニュ地方ラングル高原が原産地。ウォッシュタイプ。原料は牛乳。円筒状。直径大16〜20cm/小7.5〜9cm。熟成は大型(重さ800g以上)が3週間以上、小型(150g以上)が2週間以上。通常5〜6週間。上面に「フォンテーヌ(泉)」と呼ばれるくぼみがある。表面は湿り気があり、熟成が進むに連れて黄色からオレンジ色になる。中身は白からベージュ。きめが細かく、ねっとりしていて、香りはかなり個性的で強い。旬は春の終わりから秋。愛好者はくぼみにマール・ド・シャンパーニュを注いで食す。AOC取得1991年5月。
ブルゴーニュ
○エポワス・ド・ブルゴーニュEpoisses de Bourgogne
原産地はブルゴーニュ地方エポワス村。ウォッシュタイプ。原料は牛乳。円盤状。直径は小9.5〜11.5cm、大16.5〜19cm。熟成期間は4週間以上。表皮は柔らかく、湿っていて、しわがある。若いうちはオレンジ色をしているが、熟成が進むにつれて赤みを増す。中身は明るい麦わら色。熟成が進むととろけるようにやわらかくなり、ウォッシュタイプ特有の強い香りにマールの香りが伴って強烈な個性を発揮する。AOC取得は1991年5月。
アルザス
○マンステールMunster/マンステール・ジェロメMunster Géromé
マンステールの名は、7世紀マンステール修道院(=モナステール)の修道士が作っていた起源による。マンステール、ジェロメは地名。ウォッシュタイプ。原料は牛乳。円盤状。直径13〜19cm、プティ・マンステールは直径7〜12cm。熟成期間は3週間以上(通常2〜3ヶ月)。プティ・マンステールは2週間以上。表皮はブロンドからオレンジ色、中身は濃い麦わら色から黄金色。個性の強い香りと、深いコク。夏から秋にかけてが食べ頃。地元では皮つきのじゃがいもと一緒に食べる。クミンを添えることも。AOC取得は1978年5月。
フランシュ・コンテ
○ヴァシュラン・モン・ドールVacherin-Mont-d'Or
ヴァシュランには多くの種類があるが、モン・ドールはフランシュ・コンテ地方ジュラ山脈のモン・ドール(黄金の山)の渓谷を中心に作られる。ウォッシュタイプ。原料は牛の生乳。円盤状。直径12〜30cm。エピセア(樅の木の一種)の樹皮をまわりに巻いて固定させ、エピセアの木箱に入れて熟成させる。製造期間は8月15日〜翌年3月31日。熟成期間は6〜7週間。中身は非常に柔らかく、表皮を除いてスプーンですくって食べる。濃厚はミルクの香りの中にエピセアの芳香を有する。AOC取得は1981年3月。
○ブルー・ド・ジェクスBleu de Gex/ブルー・デュ・オー・ジュラBleu du Haut-Jura
ジェクスの名は、昔このチーズを売っていた市場がその町にあったところからきた。13、4世紀にドーフィネ地方から来た修道士達が作り始めた。青かびタイプ。原料は牛乳。円盤状。直径36cm。熟成期間は約3ヶ月。表皮は乾いていて、自然に発生した白かびが粉を吹いたように浮いている。味わいは穏やかでマイルド。軽い苦味がある。夏から秋にかけてが食べ頃。地元ではゆでたジャガイモにバターのように塗って食べる。AOC取得は1977年9月。
○コンテComté
コンテは地名。加熱圧搾タイプ。原料は牛乳。車輪型。直径40〜70cm。熟成期間は90日以上。表皮は黄褐色で硬く、厚い。中身は黄金色で、組織は引き締まり、サクランボ大の気孔がわずかに見られる。甘み、苦み、塩味、酸味のバランスがよく、ナッティな香りを持つ。フランスのグリュイエールとも呼ばれる。AOC取得は1976年3月。
ローヌ・アルプ
○アボンダンスAbondance
原産地はサヴォワ地方。アボンダンスは地名だが、豊富、多量の意味がある。。半加熱圧搾タイプ。原料は牛乳。側面がくぼんだ車輪型。直径38〜43cm。熟成期間は90日以上。夏のシャレ(山小屋)で作られたものは味わいが格別。ミルクの深いコクと味わい、ハーブとわずかにノワゼットの香りがある。AOC取得は1990年3月。
○ボーフォールBeaufort
原産地はサヴォワ地方。ボーフォールは地名。原料は牛乳。表面が平らで側面がくぼんだ車輪型。直径35〜75cm。熟成期間は4ヶ月以上。中身はやや硬く、淡黄色。エテ(6〜10月に放牧された牛のミルクを使ったもの)、アルパージュ(標高1500m以上で放牧された牛のミルクを使ったもの)の食べ頃は9月から翌年5月。側面がくぼんでいるのは、かつて重さ数10キロもあるこのチーズを運ぶ手段として、側面に縄をかけ、馬に乗せて運んでいた頃の名残。AOC取得は1976年3月。
○ルプロションReblochon
原産地はサヴォワ地方。ルブロションの名は「reblocher(2度目に乳を搾る)」が語源。非加熱圧搾タイプ。原料は牛乳。円盤状。直径14cm。熟成期間は3〜4週間。表皮はオレンジがかった黄色で、自然に発生した白かびが粉を吹いたようにつく。中身は淡黄色で柔らかく、気孔が点在する。味わいはミルクのやさしい甘みの中にかすかな苦みがあり、ナッツのような風味を持つ。口当たりはねっとりしてなめらか。AOC取得は1976年4月。
○ブルー・デュ・ベルコール・サスナージュBleu du Verdors-Sassenage
原産地はドフィーネ地方。サスナージュは地名。青かびタイプ。円盤状。直径30cm。熟成期間は2〜3ヶ月。昔ながらの山のチーズ。マイルドなブルー。ねっとりした旨みがあり、ブルー・ド・ジェクスにも似た味わい。そもそも修道院が作り始めた。AOC取得は1997年。
○ピコドン・ド・ラルデシュPicodon de l'Ardèche/ピコドン・ド・ラ・ドロームPicodon de la Drôme
原産地はローヌ川流域ドフィーネ地方、ヴィヴァレ地方。ピコドンの名は「piquanピカン(辛い)」を意味するオック語(中世プロヴァンス語)からきた。アルデシュ、ドロームは県名。原料は山羊乳。円盤状。直径5〜8cm。熟成期間は最低12日。通常は3〜4週間。味わいは濃厚でミルクの風味が豊か。口当たりは焼き栗を思わせる。熟成が進むとピリッとした刺激が生まれる。季節は春から秋。AOC取得は1983年7月