ニースNice食べ歩き
世界のリゾート、世界の社交場として輝かしい歴史を持つ町。そんな華やかな香りが残るニースは、いまも世界中からコート・ダジュールの陽光を求めて訪れる旅人を迎え入れる。高台の公園から、大きく弧を描いた白い砂浜が見渡せる。紺碧というのはまさにこの色なのだろう。海岸りのプロムナード・デザングレ(Promenade des Anglais)、つまり“英国人の散歩道”は、19世紀に在住のイギリス人から資金を集めて作った道。高級ホテルやカジノが軒を連ねる。白い小石のビーチから、ヴァカンスを過ごすたくさんの観光客や現地の人たちがそれぞれのスタイルで海を眺めている。夕暮れ時、波の音を聞きながら、そよ風に吹かれてビールを飲み、海に落ちる日を見届ると、空がまるで電気を消したかのように青から深い青色に変わった。
■パリから飛行機で1時間30分。空港から市内までバスで約20分。
モデルコース
サレヤ広場の朝市→旧市街→マルク・シャガール美術館→マチス美術館
(所要半日)

観光スポット
□マルク・シャガール聖書のメッセージ国立美術館 (Musee National Message Biblique Marc Chagall)
門をくぐると芝生が敷き詰められた庭に、南仏らしく糸杉やオリーヴの木が植えられている。建物は石造りで、正面がガラス張りで、しなやかでモダン。日本語のパンフレットもある。1973年に竣工。玄関ホールの奥には、聖書の“創世紀”“出エジプト記”から着想を得たという12点の大作が、あたかも教会の内部にあるかのように展示されている。明るい建築空間に青と緑の神秘的な色調が、強烈な感動を与える。彫刻の小展示室を過ぎて、突き当たりの6角形のホールには、“雅歌”の連作5点が展示されている。男女の愛が赤の様々な色調で描かれており、強くて優しい世界が広がる。中庭には泉水に姿を写すモザイク。自然の光とゆらめく水が、シャガールの作品に幻想と繊細さを加えている。玄関ホールに戻って通路を進むと、コンサートと会議のためのホール。ステンドグラスが深いブルーの光を放っている。ホールの椅子に座って、“天地の創造”を見つめれば、静かで、澄んだひとときが過ごせる。

□マティス美術館(Musee Matisse)
日本語のパンフレットあり。空に向かって開かれた階段(とパンフに書いてある)から入る入口ホールに、“花と果実”という4.1x8.7mのダイナミックな水彩の切り抜き絵が飾られている。これはフランス国内にあるマティスの作品の中で最も重要な作品の1つ。他には別荘で使うような椅子や、ロココ風の椅子とそれを描いた絵、彫刻等が展示されている。が、デザイン画やデッサンが多く、確かにガイドブックにあるように、色の魔術師マティスを実感させる作品の数々ではあったが、シャガールの後では迫力不足かも。

お菓子屋さん
□Confiserie Florian(Confiserie du Vieux Nice)
14,quai Papacino, 06300 Nice
Tel: 04.93.55.43.50

ニースのお菓子の砂糖漬け工場
。見学できる。

□Chez Maitre Pierre:シェ・メットル・ピエール
41, rue Massena Tel: 04.93.87.77.95
ネットで評判のイートインありのパン屋さん。奥様は日本人。ニース滞在中何度もお世話になりました。ランチのPolarというピタパンサンドとビンのジュースのセットは4.5e。私は鶏をチョイスしたが、これがおいしい。ピタパンは甘味があり、2層になっていて野菜たっぷり。モーニングはクロワッサン(0.8e)とバゲット半分(0.7e)、カフェ・クレーム(2.8e)、ジュース(2.0e)にジャム、バターがつく。これで7.5e。ピサラディエール(2.9e)もある。


□CANET:カネ
25 Boulevard Gambetta
カーニバルのお菓子Bugnesがある。3e/100gなんだけど、1つと言ったら1.5eで売ってくれた。その他にマロンタルト(Duchasse aux Marrons、3.5e)とタルト・オ・フリュイ(2.5e)を買う。他にアルファベットのチョコがある。マロンはしっとりタルト生地にアーモンドクリーム、その上にマロンクリームで、中にアンズ。上に生を絞り出し。けっこうあたりかも。ナッツの方は、タルトの上にクルミ、アーモンド、ピスタチオ、松の実、カシューナッツのカラメルがけ。そんなに甘くなくて食べられる。タルト生地は、バターでない動物的な感じの甘くない練りパイ。ベニエはオレンジの香りが強い。意外に軽くておいしい。
□Cappa:カッパ
7 Place Garibaldi Tel: 04 93 62 30 83
ベニエがあったので1個買おうとしたらおばさんにすごく嫌な顔をされた。ブレットのタルト(2.85e)もあるので、サロンで食べたいと言ったら、ベニエは1個0.63eで売ってくれた。タルトをコーヒー(1.6e)と共に試食。これはですね、味がない覆われたタルト。ねちょねちょしたアパレイユとブレットと松の実が中に入っている。上に粉糖。生地が固い。ベニエはCanetのものより、よりドーナツに近く、オレンジの香りは弱く、甘味も少ない。
□Multari Josephe:ムルタリ・ジョゼフ
8, boulevard Jean Jaures
22, rue Gioffredo
58 bis, avenue Jean Medecin
ニースに3軒あり。私はジョン・ジョレス店でツナのサンドイッチ(3.3e)をテイクアウト。ここのおねえさんはとても感じがよい。サンドイッチを頼むと、マヨネーズをかけるかと聞かれ、Ouiというとラップを開けてかけてくれる。ジャン・メドサン大通りの支店は、ラデュレ風の広いサロンで、トロペジェンヌもある。
■グルメスポット
□サレア広場の朝市Couts Saleya
○シェ・テレサChez Thérésa
名物店。ソッカ、ピサラディエール、タルト・ブレットなど。ソッカLa Soccaとはひよこ豆の粉をベースにした、ニース版お好み焼き。直径1m位の丸い天板で焼かれていて、注文すると切ってくるっと紙に包んでくれる。1切れ10FF。塩胡椒するのが通の食べ方とか。あつあつをその場でいただく。素朴な、体に良さそうな味わい。焦げ目がぱりぱりしていておいしい。そこで並んで売っていた、これまたニース名物の丸い小さなピサラディエールPissaladiere(炒めた玉ねぎとアンチョビ、オリーヴがのったピザ、6FF)と、大きく四角く焼かれたガレット・ブレット(ブレットBlettesという立派なほうれん草のような野菜の葉を、茹でてピュレ状にしたものがのったタルト。甘口Sucreeと辛口Saleeがある)も購入。各10FF。こちらはさめていたせいかあまり人気がなく、少々持て余し気味。


※マルシェのソッカを作っているアトリエは旧市街にある。
大鍋に豆の粉を溶かした生地が用意されていて、1回分ずつキャセロールで沸かして、巨大なパイ皿に流して窯で焼く。それをマルシェにリアカーのようなもので運んでいく。このアトリエを紹介した「地球の歩き方」が置いてあり、おじさんは写真を撮れ撮れといい、私の写真も撮ってくれた。思わぬところでいい物を見せてもらった。
□Confiserie Florian:コンフィズリー・フロリアン(果物の砂糖漬け工場)
14, quai Papacino, 06300 Nice Tel: 04.93.55.43.50

予約をしておくと、デモンストレーション・ルームのようなところで、おばさんが作り方の説明をしてくれる。基本的には新鮮なフルーツを、温度管理をしながら何度も砂糖液につけて乾燥させて作る。夏の間は職人さんがいないので、機械は作動していないとのこと。2階は販売センターになっていて、下で作られた色鮮やかなフリュイ・コンフィFruit Confit(果物の砂糖漬け)や、それにチョコレートをまぶしたもの、ジャム等がギフト用にラッピングされて置かれている。コンフィはそれはそれは甘そうなので、お菓子に使いそうもない私は購入を控える。
□Moulin A Huile D'Olive:ムーラン・ア・ユイル・ドリーヴ
オリーヴオイルのはかり売りの店。店頭で、オレンジの花の水とバラの花の水、陶器のオリーヴオイル入れ、アンショワードAnchoiade(アンチョビのペースト)、サフランSafranなどもある。
レストラン
□Chez Rene:シェ・ルネ
旧市街のMiralheti通りで行列のできる店。ここは店の外にもテーブルが並び、中で飲み物を注文し、向かいのテイクアウトもできるコーナーで、料理を選ぶシステム。私達がとったのは巨大ななすを薄切りにして揚げたベニエ(Beignet)、開いたいわしをオリーヴオイルでソテーし、ほうれん草(多分ブレット)のピュレをのせたもの、すり身(挽肉ではない)のようなものを、ピーマン、くり貫いたズッキーニ、玉ねぎに詰めたもの。揚げ物はかなり油っぽかった。しかもなすのフライはほんのり甘くて不思議な味。

□La Brasserie du Mirador:ラ・ブラッセリー・デュ・ミラドー
ピザNapolitaine(トマト、チーズ、ケッパー、アンチョビ、オリーヴ、オニオン入り)
○ムール貝とポテトフライの盛り合わせMoules Frites
○ニース風サラダSalade Nicoise(トマト、レタス、きゅうり、セロリ、オニオン、ツナ、アンチョビ、卵、いんげん入り)

ワインはコート・ド・プロヴァンスの白
期待のムール貝は身が小さくて、すかすか。サラダはじゃがいもは入っていないし、いんげんはくたくた。ピザはまあ許せるとしても、“観光地だから仕方ないか”というレベルだった。冷たい白ワインが渇いた喉に心地よく、乾いた気候のせいか、いくらでも飲めそう。

■私の朝市初体験
サレヤ広場の朝市:
朝市はとても規模が大きく、売られているものも、野菜、果物、パン、チーズ、魚介、雑貨、花と様々。最初に目に入ったお菓子屋さんのおいしそうな匂いにつられて立ち寄る。ここでは昔懐かしい泉屋のクッキーのようなものや、アルミの器で焼かれたパウンドケーキなどが売られている。もの珍しそうに覗き込んでいる日本人の集団に、おねえさんは甘い乾パンのようなものを試食させてくれた。ありがたく頂戴していると、すかさずAちゃんが“これがおいしいんです”といってフガスFougas(6FF)を買っている。フガスはオレンジの香りのする穴のあいたコッペパン。ほんのり甘くてふわふわしている。Mounaという直径20cm位のドーム型のパンも、上にアラレ糖がのったフガスの一種。大きさによって微妙に値段が違うのが良心的かも。あと、“オレンジの花の水”入りのカヌレがあったりして、南仏している。

その先にはオリーヴ屋さんがある。色々な大きさのグリーンと黒のオリーヴが、ピーマンと合わせてあったり、ニンニク風味だったり、タイムがまぶしてあったりとバラエティーに富んでいる。ワインのつまみにぴったりとは思うけど、買い方がよくわからず、試しに指を差してみると、試食させてくれた。とりあえず、一通り見てからにしようと、次に進む。チーズ屋、果物の砂糖漬け屋、ポプリ屋、香辛料屋等などを通って、「Chez Theresa」というソッカ屋さんへ。それからチーズ屋で、最もプロヴァンスっぽいと思われる、何種類かのハーブがまぶしてある山羊のチーズを購入。13FF。果物屋さんでは、おいしそうないちじく発見。お腹のためも考え、試しに食べてみる。4つで8FF。よく熟れてはいたが、びっくりするような味ではなかった。
(訪問日:1998年8月22日)

ニース郊外食べ歩き

観光スポット
□料理博物館(Musee de L'Art Culinaire)
06270 Villeneuve-Loubet(Village) Tel: 04.93.20.80.51
ヴィルヌーブ・ルーベという町にある博物館。“料理人の王、王様の料理人”と呼ばれるオーギュスト・エスコフィエが1846年10月28日に生まれた家の中にある。日本のガイドブックには載っていない町なのに、しっかり日本語の説明書が用意されている。受付では、エスコフィエの著書や絵はがきを売っている。向かいには砂糖細工やマジパン細工が飾ってある。実際に使われていたという暖炉のそばには、18世紀の焼き串回し器がある。部屋に入ると、銅や土器のお菓子の型が陳列され、19世紀の調理場にあった道具のミニチュアがある。階段を上ると、彼が育てた2000名にもなるという料理人の写真もある。さらに上には数百にも及ぶメニューをおいている部屋がある。地下は図書室と貯蔵庫、視聴覚室になっていて、資料が閲覧できる。この地方のワインが並べられた部屋では、ワインと料理のマッチングのパネルがあったり、ビデオが見れたりする。ここは料理人にとっては聖地のような所なのだろう。


レストラン
□Jacques Maximin:ジャック・マキシマン
689, Chemin de la Gaude, 06140 Vence Tel: 04.93.58.90.75
ヴァンスにある2ツ星レストラン。ヴァンスは、ニースから1時間弱の、マティスが装飾を施した礼拝堂で有名な城壁の町。レストランの入口に、蔦のからまる石の門に<MAXIMIN>の小さな看板。中に入って緑に囲まれた庭園を抜けると、白いパラソルと薄いピンクの花柄のチェアー。原色の花も飾られていて、まさに南のリゾートの雰囲気。もともとはカトリーヌ・ドヌーヴさんの別荘だったとか。南仏料理の伝統を味わえる。
<ある日のランチメニュー>
○ズッキーニの淡い緑色のスープにラタトゥイユとコンソメのジュレをのせたもの
○ペンネのグラタン、アメリケーヌ・ソース味
○鴨のティアン(ティアンとは厚手の陶器を使った料理のこと)


○チーズ盛り合わせ、くるみとレーズンパン添え
○白桃のガスパッチョ


白ワイン:Cotes de Provence 1995
赤ワイン:Ch. de Chausse(AC Cotes de Provence) 1994
スープは生クリームとオリーヴオイルがたっぷりで、味はぴり辛。スープにラタトゥイユをのせちゃうなんて斬新!と思ったが、ズッキーニの味が消えてしまうほどのクリームの量に、これだけでお腹が(胸が?)一杯になりそう。2皿目のグラタンはこんがりこげめがおいしそう。が、これも生クリームとパルミジャーノ・チーズがたっぷり。3皿目はスライスして一列に並べた鴨の胸肉の下に、トマトとマッシュルームをあらみじんにしてソテーしバジル風味にしたものをしいている。これは、こちらのお得意料理らしく、南仏の香りを感じさせる素晴らしい一品。火の通り具合も絶妙。チーズは、トム・ド・シェーブル(山羊)、トム・ド・ブルビ(羊)、トム・ド・ヴァッシュ(牛)。トムとは山のチーズの総称。要するに地チーズということだろう。それににんにくのコンフィ、干レーズン、くるみ、香草バターを盛り合わせ、オリーヴオイルがかけてある。これも南の食べ方なのだろう。そしてデザートは、桃のスープに桃のソルベをのせ、まわりにラズベリーをあしらったもの。全体をピンクでまとめ、アクセントに小さいミントのヘリコプター。これはどんなに満腹でも食べられる。 (1998/8/23)
(訪問日:1998年8月23日)